小さいこと
ミニマムの中にふと豊かさやひろがりを感じることがあります。間口の狭い京の町屋の坪庭、一輪の花をつけた手のひらに乗る盆栽、彩りが美しい箱寿司、ダイハツのコペン、それらはその象徴の一つではないでしょうか。大きなものの中にそれらを見いだす事はもちろん出来ます。 しかし小さいことは難儀であり、これまでにない工夫、新しい閃きを必要としがちです。
利休は広さの単位で言えば二畳の茶室をプロデュースしました。にじり口や、壁に設けられた開口部、あえて高低差をもたせた天井、床に飾られた一輪の花、それらの要素は巧みに作用仕合い、豊かな時の流れる空間をつくりだし、もてなしの心を感じさせてくれています。
ichieは全てが極めてミニマムなサイズですが、なぜか窮屈さは感じない空間だと思います。内と外とをあいまいに分ける土間スペースからパーゴラのある屋上まで、平面にではなく、縦に拡がり繋がる空間です。
「Fake strawberry」